家相や風水を気にするべき? 快適な住環境を整えるためのヒント

家づくりを考えるときには、建て主の希望はもちろん、近隣との兼ね合いや敷地の制約、各種法令など、さまざまな条件を総合して計画を進める必要があります。家相や風水を全く気にしないというケースもありますが、その土地の風の流れや気候を考慮して、方位とライフスタイルの関係性を検討することは、快適な住環境を整えるためのプランニングにおいて非常に重要な要素となります。

家相と風水の基本的な考え方

風水は中国に起源を持つ土地や建物の吉凶を判断する考え方であり、家相は日本で独自に発展した、家の間取りや方位から吉凶を判断する方法です。家相は特に自然環境と密接に関連しており、日本の気候や風土に適した環境学ともいえます。

鬼門と裏鬼門、科学的には?

 家相を考える上で特に重要なのが「鬼門」と「裏鬼門」です。北東を鬼門、南西を裏鬼門とし、「鬼(邪気)が出入りする方角」として忌避されています。特に水回り(キッチン、浴室、トイレ)や玄関をこれらの方位に配置しないことが推奨されています。このような家相や風水に基づいた考え方は、単なる迷信とみなす人も増えていますが、快適性や健康面を考えると合理的な部分もあります。

「鬼門」にあたる北東は日当たりが悪く、湿気が溜まりやすい場所です。そのため、カビの発生や冬場の冷気によるヒートショックなど、衛生面や健康面でのリスクが高まります。また、南西の「裏鬼門」は西日が強く、熱気がこもりやすいため、食材の保管には適していません。これらの理由から、「鬼門」「裏鬼門」は科学的にもキッチンやトイレ、お風呂などの水回りとは相性の悪い方角といえます。

家相を考慮した間取りのメリット

 現代の住宅は高気密・高断熱で、空調設備も非常に整っているため、家相を意識する必要はないと感じる人もいるでしょう。しかし、鬼門を避けるように水回りや玄関を配置することで、自然と採光や換気に優れた間取りになることが多く、プランニングもスムーズに進むため、住む人にとって満足度の高い家づくりが実現しやすくなります。現代の住宅においても、太陽の光を取り入れ、自然な風の流れを確保することは、心身ともに健康的で快適な暮らしを実現するためにぜひ取り入れたい要素です。

家相を無理なく取り入れる工夫 

家相では「正中線・四隅線」や「張り・欠け」がよく言われますが、こだわりすぎて住みにくい間取りになってしまうのは本末転倒です。家相の本質は、生活環境や健康に悪影響を与えないようにすることにあります。間取りで家相に対応できない場合でも、たとえば鬼門側は寒く湿気が溜まりやすいため、床暖房や換気設備を取り入れる。裏鬼門側は熱がこもりやすいため、断熱や窓を工夫し、換気設備を整えるなど、科学的な視点と家相の知識をバランスよく取り入れることで、理想的な住環境を整えることができます。

家相の本質を知る 

家相や風水を気にするかどうかは、個々の価値観や信念によるところが大きいでしょうが、もともとは、日本の気候や風土・自然を取り入れて、住まいの快適さや健康を守るための本質的な考え方です。その点を押さえつつ、無理のない範囲で柔軟に取り入れることで、自分たちのライフスタイルを実現できる理想の家づくりが可能となるでしょう。