フラット35Sの3プランと住まいに求められる技術基準とは?

2024年3月に日本銀行がゼロ金利施策を解除し、これから時間をかけて政策金利の上昇が予測されます。住宅ローンの金利も上がることは間違いありません。
住宅ローンを変動金利ではなく固定金利で申し込む人も増えていく中で、固定金利引き下げの優遇措置としてフラット35Sが注目されています。
この記事では、フラット35Sの固定金利引き下げプランを申し込むときに住宅に求められる技術基準(新築住宅の場合)について解説しています。フラット35Sの内容を理解し、建築主さまの要望に対応できる知識をぜひ身につけていきましょう。
1.フラット35Sとは
フラット35Sとは、フラット35を申し込んで質の高い住宅を取得する方に対して、借入金利を一定の期間、一定の幅で引き下げる制度になります。
2.フラット35Sの金利引き下げプランとは
住宅に求められる技術基準の説明の前に、フラット35Sの金利引き下げプランについて説明します。
金利引き下げプランは下表の3つになります。
金利引き下げプラン | 金利引き下げ期間 ※1※2 | 金利引き下げ幅 ※1※2 | |
1 | フラット35S(ZEH) | 当初5年間 | 年▲0.75 % |
2 | フラット35S(金利Aプラン) | 当初5年間 | 年▲0.50 % |
3 | フラット35S(金利Bプラン) | 当初5年間 | 年▲0.25 % |
※1 2025年3月31日までに申込受付分に適用
※2 フラット35Sのみの適用があった場合で期間と幅で記載しております。
各プランにおいて、金利引き下げ幅が違うことがわかっていただけたのではないでしょうか。そして、それぞれのプランで住宅に求められる技術基準が違います。
3.フラット35Sの住宅に求められる技術基準とは(新築住宅の場合)
フラット35Sにおける質の高い住宅に求める技術基準は、「省エネルギー性」「耐震性」「バリアフリー性」「耐久性・可変性」の4つの分野に分かれています。4つの分野うちどれか1つの分野で決められた技術基準を満すことが必要です。
また、各分野の中でも技術基準に差がありますので、より質の高い基準に適合することで金利引き下げ幅が大きいプランに申し込めます。
ただ、下記の地域で住宅を取得する場合、フラット35Sを利用できませんのでご注意が必要です。
- 土砂災害特別警戒地域
- 災害危険区域内
- 急傾斜地崩壊危険区域
- 地すべり防止区域内
フラット35S(金利Aプラン)と(金利Bプラン)の技術基準
フラット35S(金利Aプラン)と(金利Bプラン)の技術基準は、前述したとおり4つの分野からなります。設計段階で組み込みが比較的にやさしい基準もあれば、難しい基準もありますので、お客さまと事前の打ち合わせで確認が必要です。
また、技術基準に適合している住宅かどうなのか証明する方法として、住宅性能評価書の提出、もしくは、所定の設計検査と現場検査に合格すれば利用が可能です。
フラット35S(金利Aプラン)の技術基準
下表の基準を1つ以上満たす住宅
省エネルギー性 | 断熱等性能等級5以上、かつ、一次エネルギー消費量等級6 (認定低炭素認定住宅および性能向上認定住宅を含む) | |
耐震性 | 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)3、または、免震建築物 | |
バリアフリー性 | 戸建 住宅 | 高齢者配慮対策等級(専用のみ)4以上 |
共同 住宅 | 高齢者配慮対策等級(専用)3以上、かつ、 高齢者配慮対策等級(共用)4以上 | |
耐久性・可変性 | 長期優良住宅 |
フラット35S(金利Bプラン)の技術基準
下表の基準を1つ以上満たす住宅
省エネルギー性 | 断熱等性能等級4以上、かつ、一次エネルギー消費量等級6 または、 断熱等性能等級5以上、かつ、一次エネルギー消費量等級4以上 | |
耐震性 | 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2 | |
バリアフリー性 | 戸建 住宅 | 高齢者配慮対策等級(専用のみ)3以上 |
共同 住宅 | 高齢者配慮対策等級(専用・共用)3以上 | |
耐久性・可変性 | 戸建 住宅 | 劣化対策等級3、かつ、維持管理対策等級(専用のみ)2以上 |
共同 住宅 | 劣化対策等級3、かつ、維持管理対策等級(専用・共用)2以上(一定の更新対策が必要 ※1) |
※1 躯体天井高において2.5m以上の確保と、間取り変更で障害になる壁や柱がない状態
フラット35S(ZEH)の技術基準
フラット35S(ZEH)の技術基準は、実は『省エネルギー性』しかございません。強化外皮基準を満たすため断熱材の向上や、一次エネルギーを効率的に使用するための設備の導入を検討することが必要です。
また、フラット35(ZEH)は竣工検査までに、建築中に発生した変更内容をすべて反映したBELS評価書の取得がいります。共同住宅の場合、共用部分で変更した設備機器についても変更の省エネ計算をしまう。
ZEH OrientedとZEH-M OrientedはBELS評価書でなくても、設計内容説明書と省エネ計算書などを提出すれば対応ができます。
フラット35S(ZEH)の技術基準
省エネルギー性 ※2,※3,※4 | 戸建 住宅 | ・『ZEH』 ・Nealy ZEH ・ZEH Oriented |
共同 住宅 | ・『ZEH-M』 ・Nealy ZEH-M ・ZEH-M Ready ・ZEH-M Oriented | |
耐震性 | 設定なし | |
バリアフリー性 | 設定なし | |
耐久性・可変性 | 設定なし |
※2 いずれかのZEH基準に適合すること
※3 戸建住宅の『ZEH』以外は、特定地域や条件でのみ適用されます
※4 共同住宅は建物階数によって、求められるZEH-Mの基準が変わります