9割が知らないシロアリ被害の負担を最小限にする方法
シロアリは、家屋の木材を食べたり、「蟻道」と呼ばれる通り道を作って木材の腐食の原因を作る害虫です。シロアリが発生すると、住宅の構造材に被害を及ぼし、大きな損害になります。
ただし、設計段階でしっかりと対策しておくことで、シロアリ被害を未然に防止し、万が一被害が出たとしても駆除費用の保証が出るなど顧客の負担を最小限に抑えることができます。計画時におさえておくポイントについてご紹介します。
湿気の多い環境を好むシロアリは、普段は地中深くの大木に巣を作って生活しています。しかし、ひとたび家屋の床下に辿り着くと、基礎や束柱(床下を支える木材)を餌にしながら、住宅内へと侵食して来ます。この習性から、侵入を防止する対策としては、「地面から1メートル以内の部分(柱、筋交い・土台など)には防蟻処理を行うこと」が新築を建てる際には満たすべき基準となります。
この基準に関してはどの住宅にも施される対策ですが、+αとして、「基礎パッキン」を使用するという方法があります。
基礎パッキンは、硬い樹脂で作られた部材で、基礎コンクリートと土台となる木材の間に挟み、家の周囲をぐるりと囲むように施工します。基礎コンクリートと土台の間の通気性を保ち、床下の換気を促進するために使用されます。
床下が換気されることで、湿気の多い場所に住むシロアリを寄せ付けない環境にすることができるのです。
さらに、この基礎パッキンを用いる利点としては、万が一シロアリが発生した場合には保証が受けられることです。
通常、シロアリが発生した場合の駆除費用としては、家の広さ、被害の範囲、駆除方法、業者の規模(個人経営なのか、全国展開している業者なのか)で大きく代わりますが、10万円~30万円が一般的です。保証制度を設けているメーカーの仕様の通りに基礎パッキンを施工すれば保証期間10年間で、累計1000万円を限度に、賠償責任保証額の給付制度を設けてくれているのです。
現在、床下は完全に外気と遮断する「高気密住宅」も多くなっていますが、このような気密パッキンを使って床下を換気をすることが、シロアリの侵入を防止する方法もあります。
顧客の希望や施工業者がどちらを得意としているかも考慮しつつ、気密パッキンで床下を換気するという提案をしてみても良いかもしれません。ただし、保証は気密パッキンを使用しただけでは受けられず、施工後に保証の登録を完了しなければいけないので、施工業者と連携を取りつつ登録を忘れないようにしてもらいましょう。
計画時にシロアリの対策まで目を向けられないかもしれませんが、被害が出てしまうとクレームにもなりかねません。
顧客が安心して住み続けられるように、事前にしっかりと対策を検討しておきましょう。