認定低炭素住宅の取得って意外に簡単!?認定基準や優遇措置を解説

ZEHレベルの省エネ性能がある住宅や共同住宅において、認定低炭素住宅の取得は意外に簡単であることをご存知でしょうか。

この記事では、認定低炭素住宅の制度の概要、基準や税の優遇について記載しております。
認定低炭素住宅に関する知識を習得することで、住宅に対する設計バリエーションが増えますので知っていて損はございません。それでは、解説していきます。

認定低炭素住宅の概要

認定低炭素住宅は『都市の低炭素化の促進に関する法律(エコまち法)』によって制定されており、平成24年12月に施行し令和4年10月に改訂しております。

法律の趣旨は、地球温暖化に対する国の対策として、都市における二酸化炭素の排出量を抑制するための法律です。
エコまち法に則った低炭素建築物には、設計上の条件についてさまざま規制緩和措置があります。また、認定低炭素住宅の購入者には、所得税の軽減などの優遇措置が適応されます。

認定低炭素住宅の認定基準は

認定低炭素住宅の認定基準ですが、大きく分けて3つあります。

  1. ZEHレベルの省エネルギー性能
  2. 再生可能エネルギー利用設備の導入(必須項目)
  3. 低炭素化に資する措置(選択項目)

上記の内容を満たすことで、認定低炭素住宅として認められます。それぞれについて簡単に説明いたします。

1.ZEHレベルの省エネルギー性能(必須項目)

認定低炭素住宅には、ZEHレベルの省エネルギー性能が求められます。
ZEHレベルは、外皮性能において強化外皮基準(6地域でUA≦0.6)を達成し、一次エネルギー消費量は省エネ基準から20%以上を削減した数値です。

共用住宅では住棟評価のみが認定基準の対象になります。全住戸で強化外皮基準を達成した上で、一次エネルギー消費量において専有部全体と共用部の合計で20%以上の削減率が必要になります。

2.再生可能エネルギー利用設備の導入(必須項目)

再生可能エネルギー利用設備は、認定低炭素住宅において必ず導入する必要があります。
エコまち法で認められている再生可能エネルギー利用設備は5つで、そのうちいずれか1つ設備を導入しないと認定されません。

  1. 太陽光発電設備
  2. 太陽熱・地中熱を利用する設備
  3. 風力・水力・バイオマスなどを利用する発電設備
  4. 河川水熱などを利用する設備
  5. 薪・ペレットストーブ等の熱利用

もっとも導入しやすい再生可能エネルギー利用設備は、戸建住宅・共同住宅の両方において『太陽光発電設備』です。

(3)低炭素化に資する措置

3つ目の認定基準は、低炭素化に資する措置になります。5分野9項目の中から1項目を選び住宅に措置する必要があります。

■低炭素化に資する措置の5分野9項目■

節水対策1.節水に資する機器を設置
2.雨水・井戸水または雑排水の利用のための設備の設置
エネルギーマネージメント3.HEMSまたはBEMSの設置
4.太陽光などの再生可能エネルギーを利用した発電設備およびそれと連携した定置型の蓄電器の設置
ヒートアイランド対策5.一定のヒートアイランド対策を講じる
建築物(躯体)の低炭素化6.住宅の劣化の軽減に資する措置を講じる(劣化等級3)
7.木造住宅もしくは木造建築物である
8.高炉セメントまたはフラッシュセメントを構造耐力上主要な部分に使用している
V2H充放電設備の設置9.建築物から電気自動車もしくはプラグインハイブリッド自動車に電気を供給するための設備または電気自動車などから建築物に電気を供給するための設備の設置

引用:エコまち法の基づく低炭素建築物の認定制度の概要

認定低炭素住宅における申請ルートについて

認定低炭素住宅の認定書を取得するための申請ルートは2つあります。

  • 行政へ直接申請するルート
  • 評価機関が発行した適合書を添付して、行政へ申請するルート

行政へ直接申請するルートは、着工間近まで図面変更に対応できます。その反面、行政での低炭素住宅の技術的審査に時間がかかり、認定書の発行が遅くなる傾向があります。

適合書を添付して認定申請するルートは、適合書の発行にかかる審査期間を考え前もって評価機関に申請が必要です。ただ、行政に認定申請をしたあとは比較的スピーディに認定書が発行される傾向があります。

認定低炭素住宅における申請時の注意点

認定低炭素住宅における申請時の注意点は、かならず着工日までに行政へ認定申請する必要がある点です。
着工日を過ぎてしまうと認定申請ができなくなりますので、認定低炭素住宅の認定書を取得できるチャンスは一度きりです。

認定低炭素住宅として認定を受けたい住宅はくれぐれもご注意ください。

認定低炭素住宅の優遇処置について

認定低炭素住宅は、税制・融資・建築条件における優遇措置の対象となります。
税制の優遇措置は、住宅購入者への所得税の減税制度である住宅ローン減税でもっとも控除金額が高い優遇を受けることが可能です。

また、融資では住宅ローンであるフラット35において、フラット35S(金利Aタイプ)の基準に適合しています。住宅ローンの借入当初から金利0.5%を5年にわたり継続して引き下げる制度に申し込めます。

建築条件の優遇処置は、低炭素化のために設置した設備(再生可能エネルギーと連系した蓄電池やコージェネレーション設備など)に関わる容積率についての内容です。設置した設備の面積が通常の住宅の床面積を超える部分は、容積率の算定時に1/20程度を限度に延べ床面積から不参入にできます。