今のままでは危険!見直すべきキッチン周りのレイアウト

住宅を設計する上で、重要な部分を担うキッチン。料理を作るときに長時間過ごす空間であるため、機能的に設計することで家事時間を短縮することとなり、施主の満足度もアップします。現在はキッチンがダイニングやリビングを向いていて、背面に食器棚がある「対面キッチン」が主流となっていますが、キッチン周りの配置や必要寸法への希望が変わってきているのはご存知でしょうか。
今までの感覚で設計していて、後々変更を要求されるなど、クレームにならないよう、知識をアップデートしていきましょう。

採用率の高い「対面キッチン」ですが、前述した通り、キッチンに立つとダイニング・リビングが見渡せるという利点に加えて、キッチンから振り返れば食器棚、キッチン家電、冷蔵庫といった調理をサポートするツールが配置されているため、作業効率がよく、長年人気の配置となっています。
キッチンの一方が壁にくっついている、いわゆる「ペニンシュラ型」が一般的でしたが、実は、この形を選びたくないという希望が増えています。
というのも、夫婦共働きの世帯が増加したことに伴い、調理も複数人で行うことが多くなったため、「行き止まり」のあるレイアウトが使いにくく、回遊できたり人が行き来したりしやすいプランが好まれるようになったからです。

さらに配慮しておくべきポイントが、キッチンと背面の食器棚などとの通路の幅です。
通常、キッチンで調理しながらも背後に手が届きやすい900mm程度が好まれていましたが、複数人で調理する場合に、すれ違うことも考慮してもう少し広い幅を必要とするケースが増えてきました。
人がすれ違うことを考えると、1100mm以上の通路幅が必要になってきます。

生活スタイルの変化から、ペニンシュラ型からキッチンの両側に通路がある「アイランド型」へ、さらにキッチン横にダイニングテーブルを配置するようなプランも人気になりました。こちらはハウスメーカーのモデルルームで良く見られるようになり、出来上がった料理がすぐに食卓に出せる動線が便利だということで、希望する施主が増えたようです。
ただ、LDKの広さを確保しておかないと、団らんの場としてはかなり狭い印象になってしまい、キッチン前がただの廊下のようになってしまうことも懸念されます。キッチンから中庭が見渡せるようなプランならば良いのかもしれませんが、それも敷地に余裕がないと難しく、採用する際は慎重に検討することが必要です。

住宅における要望は日々変化しています。施主の希望もしっかりと取り入れながら、満足してもらえる設計がこれからも重要になってきます。