一級建築士資格は必要か?発注側と受注側の両面から解説

建築業界に携わっていると、建築に関する様々な資格を目にします。その中でも設計の分野では、「一級建築士」が難関資格として知られています。取得するには時間も気力もいりますし、独学で勉強するのは難しく資格学校に通うなど費用もそれなりにかかります。

一級建築士という資格はどのような場合に必要なのか。仕事を発注する側、受注する側の両面から検証していきたいと思います。

建築士の資格には「一級建築士」「ニ級建築士」「木造建築士」の3種類があり、それぞれの資格には、設計・監理ができる規模や構造、建物用途の違いがあります。

主な違いとして、

■木造建築士
300m²以下の2階建て以下の木造限定

■ニ級建築士
高さ13m以下かつ軒高9m以下で、特定建築物以外

■一級建築士
全ての構造・規模・用途の建築物について、設計・監理が可能

以上のことが挙げられます。

資格取得に必要な条件にも違いがあり、ニ級建築士、木造建築士については建築関係の学校を卒業すれば実務経験なしで受験資格・免許登録が可能ですが、一級建築士については建築関係の学校卒業後、実務経験を経てからの受験・合格、又は受験・合格したのちに実務経験が必要など、ニ級、木造よりも厳しい条件になっています。合格率も長年10%前後と狭き門です。

取得が難しい一級建築士資格ですが、住宅専門の会社であれば、二級建築士が扱える業務の範囲となりますので、一級建築士を取得するにこしたことはありませんが、実質必要となる場面は少ないとも言えます。

前述した通り、取得にはかなり努力が必要な資格なので、就職時に重宝されたり建築士として独立したりするときに「一級建築士事務所」を名乗れるため、一般のお客様からは注目されるポイントになるでしょう。

建築士としてのキャリアを上げていきたいと考えるのであれば、取得しておいて損のない資格なのは間違いありません。

一方、建築士に仕事を発注する場合はどうでしょうか。
一級建築士を取得しているからといってその人の実力までも伴っているか人それぞれです。

仕事を発注する際はしっかりとその会社や建築士の実績を加味しつつ、本当に信頼のできる相手かどうかを見極めておくことが重要です。

ニ級建築士の資格取得者でも、十分にその分野の知識や実績がある建築士もたくさんいます。

依頼したい仕事に対する実績、その人との相性など総合的に判断するのが一番良いでしょう。