2022年から等級が増えた!性能評価の断熱等級を改めて解説!

省エネ住宅の表現でもっとも認知されている指標は「断熱等級」です。断熱等級は住宅に対して外の熱がどれだけ出入りしにくいのかを等級で表しています。
設計者の中には等級の存在は知っているけど、実は詳しい内容についてはよく理解できていない方もいるかと思います。今回の記事は、「断熱等級」について解説しております。
断熱等級ってなに?
断熱等級とは、住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく、日本住宅性能表示基準及び評価方法基準の10ある評価項目の1項目です。
正式名称は、断熱等性能等級といい評価対象住宅の断熱性能の高さを等級で評価します。
等級で評価される断熱性能の値は、外皮平均熱貫流率(UA値)と冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)の2つの数値が対象です。
等級評価の対象の数値 | 数値の概念 |
外皮平均熱貫流率 (UA値) | ・室内と外気の熱の出入りのやすさの指標 ・数値が小さいほど熱が出入りしにくく、断熱性能が高い |
冷房期の平均日射熱取得率 (ηAC値) | ・太陽日射の室内への入りやすさの指標 ・数値が小さいほど日射が入りにくく、遮熱性能が高い |
両方の設計値が等級ごとに決められた基準値を下回れば、取得できる等級が確定します。
断熱等級は等級7まである
等級は1から2、3…と順に設定されており、数値が大きいほど断熱性能がよいと定義されておりてます。
住宅性能評価制度が施行された2000年では、等級4がもっとも高い評価でしたが、2025年の現在では等級7が最高の等級となります。
等級4以上の上位等級が設置された理由は、地球温暖化への対策としてCO2の排出量を抑制するためです。
住宅の断熱性能を向上させれば、石油などにより生み出されるエネルギーの無駄を少なくできより効率的に消費できます。断熱性能の見える化とより高断熱の家の建築を促す目的もあって、上位の等級が増えた経緯があります。
断熱等性能等級における各等級の基準値について
断熱等性能等級の等級ごとに求められる基準値が異なり、地域区分においても大きな違いがあります。省エネの計算結果が同じ数値であっても地域によって取得できる等級が変わりますので事前調査が必要です。
等級 | 地域区分 | ||||||||
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | ||
等級7 | UA | 0.20 | 0.20 | 0.20 | 0.23 | 0.26 | 0.26 | 0.26 | - |
ηAC | - | - | - | - | 3.0 | 2.8 | 2.7 | - | |
等級6 | UA | 0.28 | 0.28 | 0.28 | 0.34 | 0.46 | 0.46 | 0.46 | - |
ηAC | - | - | - | - | 3.0 | 2.8 | 2.7 | 5.1 | |
等級5 ZEH基準 | UA | 0.4 | 0.4 | 0.5 | 0.6 | 0.6 | 0.6 | 0.6 | - |
ηAC | - | - | - | - | 3.0 | 2.8 | 2.7 | 6.7 | |
等級4 省エネ適判 | UA | 0.46 | 0.46 | 0.56 | 0.75 | 0.87 | 0.87 | 0.87 | - |
ηAC | - | - | - | - | 3.0 | 2.8 | 2.7 | 6.7 | |
等級3 | UA | 0.54 | 0.54 | 1.04 | 1.25 | 1.54 | 1.54 | 1.54 | - |
ηAC | - | - | - | - | 4.0 | 3.8 | 4.0 | - | |
等級2 | UA | 0.72 | 0.72 | 1.21 | 1.47 | 1.67 | 1.67 | 1.67 | - |
ηAC | - | - | - | - | - | - | - | - |
断熱等性能等級と他の省エネ評価の関連性
断熱等性能等級と他の省エネ評価の関連性は、設計者様が混乱している項目になります。ZEH住宅や省エネ適判などが代表的な例です。
省エネ計算の専門知識を有する方でなければ、理解している設計者は決して多くありません。
BELS評価(ZEH)との関係性
等級5以上は強化外皮基準とも言われております。BELS申請でZEHの評価を受けたいのであれば、必ずクリアするべき基準です。
また、共同住宅ではすべての住戸で等級5以上を達成する必要があることも忘れてはいけません。
低炭素住宅認定と長期優良住宅認定
低炭素住宅や長期優良住宅の認定申請のときも、等級5以上の断熱性能を求められます。前述のZEH評価と同じです。このことからも国がZEH住宅を建築するように誘導していることが伺えます。
省エネ適合性判定との関連性
2025年4月から施行される省エネ適合性判定で求められる断熱性能は等級4以上になります。構造種別に問わず、等級4レベルの性能を確保していない建築物は建築確認済証が投下されないので、くれぐれも注意が必要です。
また、2030年から省エネ適判に求められる値が、等級5以上の基準に上がる予定です。