設計している住宅は大丈夫?省エネ適判制度の移行期で押さえるべきポイントを解説

省エネ適合性判定の施行まで2カ月を切り、設計者さまは新制度への対応に向けて準備されていると思います。
ただ、制度が移行する今の時期において、申請している建築物の確認済証が交付されるタイミングが省エネ適判の対象建築物になるのか不安に感じていませんか?

この記事では、省エネ適判制度の移行期で押さえるべきポイントを解説しています。

1. 省エネ適判とは

正式名称は、省エネ適合性判定といい2025年4月以降に着工する建物において省エネ基準に適合させることを義務化した制度です。

そして、確認済証の交付を受けるために、省エネ基準への適合が認められた適合判定通知書の提出が必要になります。

2. 省エネ適判の対象となる建築物の規模は

省エネ適判の対象となる建築物は、原則として全ての建築物の新築・増改築が対象です。

■現制度から改正後の義務の変更一覧■

規模非住宅住宅
現制度 ⇒ 改正後現制度 ⇒ 改正後
大規模(2000㎡以上)適合義務適合義務届出義務適合義務
中規模(300㎡以上)適合義務適合義務届出義務適合義務
小規模(300㎡未満)説明義務適合義務説明義務適合義務


現制度では届出義務や説明義務であった中小規模の非住宅、住宅の建築物についても4月以降は省エネ基準への適合が義務化されます。

ですが、次の建築物については省エネ基準への適合義務は対象外となります。

  • 10㎡以下の建築物(新築、増改築)
  • 居室を有しない建物又は空気調和設備を設ける必要がない高い開放性のある建物
    (ex.屋外駐車場、畜舎など)
  • 歴史的構造物や文化財など
  • 仮設といわれる建築物全般

3. 省エネ適判制度への移行期に押さえておきたいポイントとは

省エネ適判の制度に移行する時期に押さえておきたいポイントは2つあります。1つ目は「着工日」で、2つ目は「確認済証の交付日」です。

着工日

「着工日」が制度の移行期に押さえておきたいポイントである理由は、省エネ適判の審査が必要となる建築物かどうかを判断する一番の指標になるからです。

前述の通り、2025年4月以降に着工する建築物は省エネ適判の審査を受け、省エネ基準に適合させる必要があります。

逆に言えば、3月31日までに着工さえしてしまえば、省エネ基準に適合していなくも建築主の理解を得さえすれば基準に不適合でも住宅の建築は可能です。

確認済証の交付日

申請している住宅の「確認済証の交付日」が、省エネ適判が始まる4月1日より前なのか後ろになるのかで、省エネ適判へ対応方法が大きく変わります。

4月1日より後に交付

4月1日より後に確認済証の交付を予定している申請は、確認申請の中で適合判定通知書を提出する必要があります。
これにおいて、例外は認められずすべての住宅の確認申請に当てはまります。
確認済証の交付が当初予定していた3月下旬から4月にずれた場合でも、適合判定通知書を求められますのでくれぐれも注意しましょう。

4月1日より前に交付

着工日が4月以降でも3月31日までならば、確認済証を交付する際に適合判定通知書の提出は不要です。
これは省エネ適判自体が不要という訳ではなく、確認済証の交付に対してのみ通知書の添付がいらないということになります。
竣工時の完了検査済証を発行するための、省エネ適判の検査は免除できません。

ですので、完了検査の申し込み時までに省エネ基準に適合していることを証明する適合判定通知書を取得しておく必要があります。
また、確認申請の計画変更が発生した場合、計画変更後の確認済証が交付時に適合判定通知書の提出が求められますので、お忘れなく対処ください。