省エネ性能と住宅ローン減税の関係性について解説!

省エネ性能の高い住宅を数多く建築するための国の施策のひとつに住宅ローン減税等に係る所要の処置(以下、住宅ローン減税)があります。
住宅ローン減税における借入限度額の上限は、購入予定の住宅がもつ省エネ性能によって大きく変わってくることはご存じでしょうか。
この記事では、住宅ローン減税の借入限度額と省エネ性能の関係性を解説しております。
1. 住宅ローン減税ってなに?
住宅ローン減税は、住宅ローンを借り入れて、住宅の購入やリフォームをした場合、条件を満たせば所得税(一部、翌年の住民税)の減税を受けられる制度です。
年末のローン残高に対して0.7%の金額を最大13年間控除できますので、年収における税引き後の金額(手取り額)が増えます。
2. 住宅ローン減税と住宅の省エネ性能について
省エネ性能がより優れた住宅を購入すれば、1年間の控除額を計算する際に基準となる借入限度額が割り増しされます。
■2025年に入居した場合の借入限度額の一覧
省エネ性能 | 借入限度 | ||
一般世帯 | 子育て世帯等 | ||
新築住宅 買取再販 | 長期優良住宅・低炭素認定住宅 | 4500万円 | 5000万円 |
ZEH水準省エネ住宅 | 3500万円 | 4500万円 | |
省エネ基準適合住宅 | 3000万円 | 4000万円 | |
その他の住宅 | 0円 ※2023年末までに確認済証の交付を 受けている場合は2000万円 | ||
既存住宅 | 長期優良住宅・低炭素認定住宅 ZEH水準省エネ住宅 省エネ基準適合住宅 | 3000万円 | |
その他の住宅 | 2000万円 |
長期優良住宅・低炭素認定住宅
住宅ローン減税で借入限度額がもっとも優遇されているのが、『長期優良住宅・低炭素認定住宅』です。
長期優良住宅か低炭素認定住宅のどちらかの認定通知書を取得すれば対象住宅と認められます。
共同住宅の一次エネルギー消費量は住棟として省エネ性能値が対象となり、各住戸で基準値をクリアしていなくても問題ございません。
間違いやすい点は、断熱性能値は各住戸で基準値を満たす必要がありますのでくれぐれもご注意ください。
ZEH水準省エネ住宅
ZEH水準省エネ住宅は、強化外皮基準をクリアし一次エネルギー消費量のBEI値が0.8以下を達成した住宅のことです。
強化外皮基準とは住宅の外皮性能において、UA値が0.6以下かつηAC値が2.8以下という基準になります。
また、共同住宅の場合、住棟もしくは住戸で求められる基準を満たせば住宅ローン減税の対象住宅と判断されます。
住宅ローン減税で基準に適合していると確認できる証明書は、BESL評価書をもとに発行できる住宅省エネルギー性能証明書か、建設住宅性能評価書です。
住宅省エネルギー性能証明書は登録された建築士事務所の建築士や、確認検査機関・評価機関などに依頼して発行します。
ZEH水準省エネ住宅の証明書として、BELS評価書自体が効力をもたないという点にはくれぐれも気を付けてください。
省エネ基準適合住宅
省エネ基準適合住宅は「エネルギー使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」(以下、省エネ法)に適合した住宅です。
住宅性能評価書において、5-1_断熱等性能等級が等級4、5-2_一次エネルギー消費量等級が等級4の評価が必要になります。
住宅ローン減税で必要な証明書などは、前述のZEH水準省エネ住宅と同じ考え方です。
その他の住宅
『その他の住宅』とは、省エネ法の基準に適合していない住宅のことを指します。
これまで解説してきたどの省エネ性能も満たしていない住宅で、住宅ローン減税を受けるときには、特に証明書などは必要ありません。