設計と積算をつなぐ!Jw_cadと他ソフトの連携例


1. はじめに

● 設計と積算の分断が招く非効率

建築設計の現場では、設計と積算が別々に行われているケースが多く、図面から数量を拾い出す作業に多大な手間と時間がかかっています。設計内容が反映されないまま積算が進行すれば、数量ミスやコスト見積もりのズレにもつながります。

● なぜ「連携」が必要なのか?

図面と数量をデジタルデータで一元管理することができれば、作業の重複を減らし、設計変更にも迅速に対応可能になります。Jw_cadは無料ながらも高機能で、他ソフトとの連携によってそのポテンシャルを最大限に活かすことができます

● 本記事の対象読者とゴール

本記事では、Jw_cadを業務で使用している設計者・積算担当者向けに、他ソフトとの具体的な連携方法や、実務で使えるテクニックを紹介します。


2. Jw_cadのデータ形式と特徴

● JWWとJWCファイルの違い

Jw_cadには主に2つのファイル形式があります:

  • JWW形式:現在主流の形式。色・レイヤ情報を細かく保持可能
  • JWC形式:旧形式。シンプルだが、情報量が少ないため変換時に注意

● DXF形式への変換と互換性

他のCADソフトや積算ソフトとの連携には、DXF(Drawing Exchange Format)形式への変換が基本です。Jw_cadからは[ファイル] → [名前を付けて保存] → [DXF形式]で出力可能です。

● Jw_cadで積算に活用できる情報とは?

  • 線種(壁、柱、建具の区別)
  • レイヤ(部材別に分類)
  • 面積・距離の計算結果
    これらを**「積算用のデータ」として使えるよう整理しておくことが重要**です。

3. 積算業務との接続でよく使われるソフト

● 建築積算ソフト(ヘリオス、ATLUSなど)

多くの積算ソフトはDXFやCSV形式のデータ取り込みに対応しており、Jw_cadとの相性も良好。ATLUSでは部材別拾いのテンプレート設定も可能です。

● EXCELとの連携と部材集計の基礎

EXCELは柔軟な数量表作成と可視化が可能なため、Jw_cadの数量データを流し込む中間ツールとしても重宝されます。

● BIMソフトとの連携における注意点

BIMソフト(Revit、ARCHICAD等)は基本的に3Dモデルベース。2D CADとの変換では線情報が失われることもあり注意が必要です。


4. 連携の実例①|Jw_cad × EXCELで数量拾い

● 線種・レイヤを活かした部材拾いの方法

設計図中の壁、窓、柱などをレイヤ別・線種別に整理しておくことで、後工程での自動集計やソートが可能になります。

● 面積・長さの自動計算とEXCEL出力

Jw_cadには「面積計算」「長さ計測」機能があります。結果をCSVに手入力でまとめることで、EXCELに流し込んで表形式で管理することができます。

● 設計変更に柔軟に対応するデータ運用術

図面に変更があっても、拾い出しを一括再計算・再出力できる運用体制を構築しておけば、短時間で修正が可能です。


5. 連携の実例②|Jw_cad × 積算ソフト(ATLUS等)

● DXF経由での取り込み手順

  1. Jw_cadで図面をDXF形式で保存
  2. 積算ソフトに読み込み
  3. 拾いテンプレートに合わせて部材や区画を認識

● 拾い数量の整合性チェックのコツ

線の太さ・色・レイヤが間違っていると誤認識されることがあるため、事前にテンプレートに沿った図面整理が重要です。

● 自社積算ルールに合わせた変換設定

ATLUSやヘリオスには独自の拾いルール設定があるため、自社の運用ルールに合わせてテンプレートを調整することで、連携の精度が格段に上がります。


6. 連携の実例③|Jw_cad × BIM/3D CADソフト

● RevitやARCHICADとの併用事例

一部設計事務所では、基本設計まではJw_cad、実施設計・詳細はBIMソフトという役割分担で活用しています。

● 2Dデータの3D化とモデル連携の現実

Jw_cadの2Dデータをそのまま3D化するのは難しく、再入力が必要な場合が多いですが、寸法情報や形状の参照用データとしては非常に有効です。

● 図面作図とモデリングをどう分担するか?

  • Jw_cad:正確な寸法・断面を優先
  • BIMソフト:パースや干渉チェック
    役割分担のルール化が成功のカギです。

7. 連携を成功させる運用のポイント

● 図面の描き方ルールの統一

  • 線種、色、レイヤ名の命名規則を社内で統一
  • 拾いやすい図面にすることが積算連携の前提です

● 拾いやすいレイヤ構成・注記の工夫

  • 「壁」「開口部」「床」「仕上げ」などのレイヤ分け
  • 「見えない線」や「補助線」は非表示管理にして誤認防止

● 社内・外注間でのデータ連携ガイドライン

  • DXF出力時のルール(単位、文字、寸法精度)を明確に
  • 外注先にもJw_cadの使い方ガイドを共有するとベスト

8. まとめ|設計と積算の「分断」をなくすJw_cad活用術

Jw_cadは単体でも優秀なCADソフトですが、他ソフトと組み合わせることで設計と積算の分断をなくし、業務全体の最適化が実現できます。


■ 設計段階から積算を意識した図面づくりを

  • 「拾いやすい図面」は「伝わりやすい設計図」でもあります
  • 連携を前提とした設計作図は、設計者自身の負担を軽減する第一歩

■ Jw_cadを中核にしたデジタル連携の可能性

  • 無料かつ自由度の高いJw_cadは、中小規模の設計・施工業務で今後も中心的な存在となります
  • 連携のノウハウを持つことで、設計と積算の両方に強い設計者を目指せます