図面作成が楽になる!VectorWorksのレイヤーとクラス使い分け完全解説

目次
1. はじめに|なぜレイヤーとクラスの理解が重要か
VectorWorksを使いこなす上で避けて通れないのが「レイヤー」と「クラス」の理解です。この2つを正しく使い分けることで、図面作成のスピードが飛躍的に向上し、ミスも激減します。他のCADと異なり、VectorWorksは2つの階層で図面を整理するユニークな仕組みを採用しており、それが自由度と効率性の源泉となっています。
2. 基本のキ|VectorWorksにおけるレイヤーとクラスの役割
レイヤーとは?
レイヤーは、図面の構造的な階層管理を担うもので、建物の各階や、立面図・断面図などを分けて管理するために使われます。各レイヤーには独立したスケール、Z高さ(高さ情報)を設定できるのが特徴です。
クラスとは?
クラスは、図形の属性(線種・色・塗りなど)を分類・制御するための仕組みです。同じレイヤー内でも、クラスを使えば表示・非表示を切り替えたり、印刷の見え方を一括でコントロールできます。たとえば「建具」「家具」「寸法線」といった分類に役立ちます。
3. レイヤーの具体的な使い方と管理法
ストーリーレイヤーの設計手法
1階・2階・屋根といった建物の階層ごとにレイヤーを分けることで、建物全体の構造が把握しやすくなります。モデルレイヤーでは3Dモデルを構築し、シートレイヤーでは図面としての出力を行うのが定石です。
レイヤー階層構造の考え方
以下のように分けると整理しやすくなります:
- モデルレイヤー:建物の各階(1F、2F、RF)
- ビューポート用レイヤー:図面出力用
- 参照レイヤー:敷地・既存建物などの参照情報
モデルと図面を切り替えるポイント
作業時はモデルレイヤーで編集を行い、図面化する際はシートレイヤーでビューポートを活用します。これにより、図面とモデルを明確に分離でき、再利用性が高まります。
4. クラスの使い分けで図面が見やすくなる理由
クラスを適切に設定することで、図面の視認性が格段に向上します。たとえば、寸法は薄いグレー、壁は太線で黒、家具は破線など、クラスごとに線の種類や色を変えることで、用途が一目瞭然になります。
また、以下のような使い方が便利です:
- 表示の切替:確認段階では「建具」クラスを非表示にしてレイアウト確認
- 印刷の制御:カラー図面と白黒図面を一括で切り替え可能
- 属性の集中管理:一括で線の太さや色を変えられる
5. レイヤー×クラスの最適な連携パターン
レイヤーとクラスは掛け算で使うと最大効果を発揮します。以下に典型的なパターンを紹介します。
住宅設計のケーススタディ
- レイヤー:1F、2F、屋根、敷地
- クラス:構造体、間仕切り、建具、家具、寸法、文字
内装・設備図面の分類例
- レイヤー:平面図、天井伏図、配線図
- クラス:照明、空調、スイッチ、機器凡例
出力やPDF化に向けた設定
印刷用途に応じて、不要なクラスを非表示にしたビューポートを作成しておくと、出力ミスを防げます。
6. 実務で使えるおすすめ設定テンプレート
以下に、業種や規模別のテンプレート例を示します。
小規模住宅
- レイヤー:1F、2F、屋根、基礎
- クラス:壁、建具、家具、寸法、注記
商業施設
- レイヤー:フロアごとのゾーニング、避難経路
- クラス:什器配置、サイン、消防設備、設備配管
リノベーション案件
- レイヤー:既存図、解体範囲、新設図
- クラス:既存、解体、新設、変更注記
7. 図面トラブルあるあると回避術
よくあるトラブル
- 印刷時に線が消える:クラスが非表示設定のまま出力されている
- 編集したのに図面に反映されない:ビューポートのクラス表示が固定されている
- 線種がバラバラで汚い:クラス設定が未統一
回避するためには
- 図面出力前に「使用クラス一覧」を確認する
- ビューポートごとに表示設定を明示的に管理する
- 社内でクラス命名ルールを決めて統一する
8. まとめ|作業効率を最大化するために意識すべきこと
VectorWorksのレイヤーとクラスは、単なる「見た目」の管理ツールではなく、図面作成の生産性と品質を左右する中核的な機能です。これらを正しく使い分けることで、社内の作業品質の標準化や属人化の防止にもつながります。
最初は面倒でも、テンプレート化やルール化によって、使いこなすほどに作業が「楽」になります。あなたの図面づくりにも、ぜひ取り入れてみてください。