Revitユーザーが知っておくべきDXF活用法

目次
1. はじめに:なぜRevitユーザーにとってDXFが重要なのか
BIM(Building Information Modeling)を中心とした設計が主流となる中でも、建築業界では依然として2D図面の納品や外部業者との連携が求められています。こうした場面で活躍するのがDXF形式です。RevitはBIMソフトでありながら、2Dとの橋渡しとしてDXF形式を通じた出力・受け取りが不可欠です。
DXF(Drawing Exchange Format)は、ソフトウェア間で図面データをやり取りする際の標準的なファイル形式の一つで、Revitユーザーも無視できない存在です。
2. DXF形式の基礎知識とRevitとの関係
DXFはAutoCADを開発したAutodesk社によって策定されたファイル形式で、DWGのテキスト版とも言える中間フォーマットです。DWGと比べて互換性が高く、さまざまなCADソフトで読み書き可能な点が特徴です。
Revitでは、主に以下の場面でDXFが利用されます:
- エクスポート:図面ビューやシートを2D形式として他者と共有したい場合
- インポート:外部業者から受け取ったDXF図面をモデルの下絵や参照として利用したい場合
また、バージョン選択も重要で、受け手のCAD環境に合わせてR12や2000形式などを指定する必要があります。
3. RevitからDXFにエクスポートする方法とベストプラクティス
エクスポートは次のステップで行います:
- 対象となるビューまたはシートを開く
- [ファイル] > [エクスポート] > [CAD形式] > [DXF] を選択
- 保存場所とファイル名を指定し、オプションで出力形式を設定
注意点として:
- ビューは"印刷用"のものを使用することで、不要な情報の混入を防げます
- 尺度や線種の管理が重要(特に建具記号や寸法が崩れやすい)
- 文字のフォント・エンコード設定にも注意(Shift_JIS推奨)
4. DXFインポートの活用:Revitで外部図面を活かすには
インポート手順は以下の通りです:
- [挿入] > [CADのインポート] を選択
- DXFファイルを指定し、配置基準や単位を設定
- 必要に応じてレイヤーのフィルタリングや可視設定を調整
導入後は、不要な線や文字を整理し、2D情報をトレースして3Dモデル化するなどの活用が可能です。
インポートでありがちな問題は、縮尺の不一致や線種の化け、線が見えないなど。これらは、事前に送付元とバージョンや単位のすり合わせを行うことで回避できます。
5. 実務でのDXF活用ケーススタディ
意匠と構造設計の連携
意匠側で作成した2D図面をDXFで構造担当に渡すことで、Revit同士での完全連携がなくてもスムーズに設計調整が可能です。
官公庁提出用・施工業者向けデータ
RevitのBIMモデルから必要なビューをDXFに出力し、2D図面として提出できます。DXFの汎用性はこうしたシーンで発揮されます。
旧図面資産の活用
過去のDWGやDXFデータをRevitにインポートし、それを基にリモデリングを行うなど、レガシーデータを有効活用することができます。
6. よくあるトラブルとその解決策
レイヤー構造が崩れる
→ Revitのカテゴリごとにレイヤー出力のルールを定義することで、出力後の編集効率が上がります。
文字化け・寸法のずれ
→ エクスポート時の文字コード設定や、フォントの確認を徹底すること。特に日本語は注意が必要です。
表示されない線や図形
→ ビューの表示設定により、DXF出力に含まれない要素があるため、事前に必要な要素をチェックしておきましょう。
7. まとめ:DXFを正しく活用し、Revitワークフローを強化しよう
RevitのBIM機能は強力ですが、依然として2D図面が求められる場面は多く存在します。DXFを適切に使いこなすことで、社内外のやり取りが円滑になり、設計効率や納品品質の向上につながります。
BIMと2Dのハイブリッド運用を前提とした運用ルールを整えることが、Revitユーザーにとって現実的で効果的なアプローチといえるでしょう。