DXF出力のときにフォント崩れを防ぐには?

1. はじめに:DXF出力でフォントが崩れる理由とは

DXF形式はCADソフト間でデータをやり取りする際によく使われますが、その過程で「フォントが崩れる」「文字化けする」といったトラブルが発生することがあります。これは、各ソフトウェアで採用しているフォント仕様が異なるために起こる現象です。

たとえば、AutoCADではSHXフォントが多く使われている一方、Jw_cadや他の汎用CADソフトではTrueTypeフォント(TTF)を使うことが一般的です。この違いにより、同じ文字列でも見た目や位置がずれたり、場合によっては「???」のように文字が表示されないこともあります。


2. フォント崩れの主な原因

使用フォントが出力先環境に存在しない

最も多い原因が、出力元のフォントが相手の環境にインストールされていないケースです。特に業務用の特殊フォントや自社で開発したフォントを使用している場合は注意が必要です。

TrueTypeフォント(TTF)とSHXフォントの違い

TTFはWindows標準のベクターフォントで滑らかな表示が可能ですが、SHXはAutoCAD特有のシンプルなベースラインフォントであり、互換性に乏しいことがあります。

フォントサイズ・スタイルの変換時の誤差

DXF変換時、フォントサイズや太字・斜体などのスタイル情報が正確に再現されない場合もあります。

文字コードや文字セットの不一致

Shift-JISとUnicodeなど、使用する文字コードが一致していない場合、全角文字や記号などが正しく表示されません。


3. フォント崩れを防ぐための事前対策

使用フォントの統一と制限(標準フォント推奨)

設計段階から使用フォントを「MSゴシック」や「Arial」などの一般的なフォントに統一しておくと、他環境でも安定して表示されやすくなります。

SHXフォントへの変換・置き換え方法

AutoCADを使用している場合、TrueTypeフォントをSHXフォントに置き換えて出力することで、より高い互換性を得ることができます。

DXF出力前の図面チェックリスト

  • フォントが統一されているか
  • フォントの大きさ・スタイルは適切か
  • 不要な特殊文字が含まれていないか

他ソフトでの再現テストの実施方法

実際に他CADソフトで開いてみて、文字の表示やレイアウトが崩れていないか確認しておくことも有効です。


4. 相手先とのやりとりで注意すべきポイント

出力形式・バージョンの確認と共有

DXFはR12や2000、2010などバージョンが多岐に渡ります。受け手側が対応できるバージョンで保存することが基本です。

フォントファイルの添付・送付の可否

TTFファイルの送付には著作権の制限がある場合もあるため、事前に共有可能か確認しておきましょう。

PDF併用でレイアウトを担保する手段

DXFとは別にPDFを一緒に送付することで、「正しいレイアウト」を相手に伝えることができ、トラブル防止に役立ちます。


5. トラブル時の対処法と回避策

フォントが崩れたときの復旧手順

  • 表示されていないフォント名を調査
  • 近い代替フォントに変更
  • 再出力または再送付を行う

AutoCAD/Jw_cadでの表示調整例

AutoCADでは「文字スタイル管理(STYLEコマンド)」、Jw_cadでは「文字設定」から再調整が可能です。

再出力する際の最適なオプション設定

  • 「フォントの埋め込み」はオフに
  • 出力バージョンは相手の環境に合わせて選定
  • 外部参照ファイルはバインドしておくと安心

6. まとめ:フォント崩れを未然に防ぐ運用ルール

社内標準のフォント仕様策定

特定の業務で使うフォントをあらかじめルール化し、すべての図面で統一することで再現性を高められます。

テンプレート化で属人化を防止

フォントやレイヤ設定を含んだテンプレートファイル(.dwt、.jwfなど)を使うことで、誰が作図しても一定品質が保たれます。

実務に活かせるチェックリスト付き運用

納品前チェックリストに「フォント確認」項目を入れておくことで、最後の最後でのミスも防げます。