建設用3Dプリンター建築に新たな構造基準、設計・確認申請で広がる新工法の選択肢

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建設用3Dプリンターを活用した建築について、設計実務に関わる新たな技術基準が整備されました。
国土交通省は2026年6月15日、建設用3Dプリンターで造形した型枠と鉄筋コンクリートを一体化した「積層造形型枠一体型壁式鉄筋コンクリート造」について、安全上必要な技術基準を定める告示を公布・施行しました。これまで新しい材料や工法を建築物へ採用する際には、建築基準法第38条に基づく特殊構造方法等の認定などが必要となる場合がありましたが、今回、一定範囲について具体的な仕様基準が整備された形です。
対象となるのは、建設用3Dプリンターによってモルタルを積層して型枠を造形し、その空洞部分に縦横の鉄筋を配置してコンクリートを充填し、型枠と鉄筋コンクリートを一体化させる構造です。新設された告示では、この構造を耐力壁に用いる「積層造形型枠一体型壁式鉄筋コンクリート造」について技術基準が定められています。
国土交通省が告示制定前に示した概要では、対象となる建築物は平屋かつ延べ面積200㎡以内とされ、使用材料、積層造形型枠、コンクリート、鉄筋、耐力壁などに関する条件が整理されています。国土技術政策総合研究所からは告示の解説案も公表され、設計や技術的判断を行う際の考え方が示されています。
建設用3Dプリンターは、自由度の高い形状を造形できることに加え、型枠製作などの工程を変える可能性を持つ技術です。一方、建築物として実用化するには、造形できるかどうかだけでなく、構造安全性をどのように確認し、設計図書や確認申請でどのように表現するかが重要になります。
今回の基準整備は対象範囲が限定されていますが、新しい施工技術を建築基準法上のルールへ組み込み、実際の建築設計・確認審査で扱える環境を整えていく動きとして注目されます。
新工法を実施設計図書へ落とし込む際に確認したいこと
建設用3Dプリンターのような新工法を実施設計へ採用する場合、意匠上の形状だけでなく、構造方法、使用材料、配筋、接合部、施工方法などを設計図書上で明確にする必要があります。
今回の告示では、3Dプリンターで造形された型枠そのものを構造の一部として扱い、その内部に配置する鉄筋と充填するコンクリートを一体化させます。そのため、従来の壁式鉄筋コンクリート造と同じ感覚で図面を作成するのではなく、新工法固有の条件を理解したうえで、平面図、断面図、構造図、配筋図、詳細図、仕様書などの整合を確認することが重要になります。
また、新設告示の対象となる構造方法には適用条件があります。新工法を採用する際には、「3Dプリンターを使う」という技術的な特徴だけで判断せず、計画する建築物や構造部分が告示の適用範囲に入るのか、個別の認定等が必要になるのかを設計初期から整理する必要があります。
建築図面作成支援や実施設計図面、各種詳細図、確認申請関連業務においても、新材料・新工法が普及するほど、従来の標準詳細をそのまま使用するのではなく、採用する構造方法の根拠となる法令・告示・技術資料と図面内容を照合する作業が重要になります。
建設用3Dプリンターの利用範囲が今後拡大すれば、設計者には造形技術そのものに加え、新工法を設計情報として正確に整理し、構造設計者、施工者、確認審査機関などへ伝達できる図面・仕様書を作成する力が一層求められそうです。
出典元
国土交通省
国土技術政策総合研究所
一般財団法人建築行政情報センター
参考リンク
国土交通省「新材料・新工法の利用促進」
国土交通省「建築基準法等に基づく告示の制定・改正について」
e-Gov「積層造形型枠一体型鉄筋コンクリート造に関する意見募集の結果」
建築行政情報センター「技術基準改正等一覧」
※本記事は、公開情報をもとに業界動向を整理したものです。各資料・制度・サービス等の詳細については、必ず各発表元・関係機関の公式情報をご確認ください。