建設実務通信

3D都市モデルの社会実装が次の段階へ、設計初期の敷地・周辺環境確認にも広がる活用可能性

業界ニュース

国土交通省は2026年7月17日、3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化を進める「Project PLATEAU」について、今後の取組方針をまとめた「PLATEAUビジョン2026」を公表しました。都市デジタルツインの社会実装に向け、3D都市モデルをより継続的に整備・更新し、まちづくりや防災など幅広い分野で日常的に活用していく方針が示されています。

Project PLATEAUは、都市の課題解決や新たな価値創出を目的に、3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化を進める取組です。国土交通省によると、2025年度末時点で329都市において3D都市モデルが整備され、まちづくりや防災を中心に活用が進んでいます。

今回のビジョンでは、今後の重要項目として、データ整備・更新の効率化、サービス実装のさらなる推進、国外への都市デジタルツイン展開の3つが掲げられました。特に、衛星画像やスマートフォン画像、AIを活用した3D都市モデルの自動生成や、テクスチャの自動付与技術の開発にも取り組んでおり、都市データを継続的に更新しやすくする方向性が示されています。

建築設計の実務に直接関わる点として注目したいのは、3D都市モデルが都市計画や防災だけでなく、敷地周辺の建物配置、道路、地形、日影、景観、防災リスクなどを把握するための基盤データとして活用しやすくなる可能性です。

建築設計では、計画地そのものの条件だけでなく、周辺建物、道路、法規制、都市計画、災害リスク、眺望、日照、動線など、多くの情報を整理する必要があります。3D都市モデルの整備と活用が進めば、設計初期段階における周辺環境の把握や、行政・施主・設計者間でのイメージ共有にも役立つ場面が増えていくと考えられます。

設計初期段階で確認しておきたい都市データ活用の視点

実施設計や確認申請の前段階では、敷地条件や周辺環境を早い段階で整理しておくことが重要です。用途地域、道路条件、高低差、隣接建物、災害リスク、日影や景観への影響などを把握することで、後工程での手戻りを減らしやすくなります。

PLATEAUでは、3D都市モデルをウェブ上で閲覧できるPLATEAU VIEWや、3D都市モデルデータを入手できる環境も整備されています。また、国土交通省のポータルでは、3D都市モデルの作り方、整備費の試算ツール、整備業務の特記仕様書案、ユースケース開発事例なども公開されています。

設計事務所や建設会社設計部にとっては、こうした都市データをそのまま実施設計図に反映するというよりも、まずは設計初期の検討資料や関係者説明資料として活用する視点が現実的です。たとえば、周辺建物との高さ関係、道路からの見え方、災害リスクの把握、公共施設や大規模開発における配置検討などで、3D都市モデルは分かりやすい補助資料になり得ます。

一方で、確認申請や実施設計図面では、最終的には法令・条例・測量成果・行政協議・設計図書に基づく正確な情報整理が必要です。3D都市モデルを活用する場合でも、図面化する情報、参考資料として扱う情報、確認申請に必要な根拠資料を分けて整理することが大切です。

実施設計サポートセンターの事業領域である建築図面作成支援、実施設計図面、各種詳細図、確認申請関連業務においても、今後は図面そのものの作成だけでなく、設計前段階の情報整理や、周辺環境を踏まえた図面作成の重要性が高まっていくと考えられます。

出典元

国土交通省

参考リンク

国土交通省「PLATEAUビジョン2026」を公表します
国土交通省「PLATEAU ビジョン 2026」
国土交通省「都市空間情報デジタル基盤構築支援事業(PLATEAU補助制度)ポータル」
PLATEAU 配信サービス 公式ドキュメント

※本記事は、公開情報をもとに業界動向を整理したものです。各資料・制度・サービス等の詳細については、必ず各発表元・関係機関の公式情報をご確認ください。

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