建設実務通信

石綿含有建材調査の制度整備が進展、改修設計では既存図面と現地調査の連携が重要に

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建築物の改修・解体に関わる実務では、石綿含有建材の事前調査と、その結果を踏まえた設計・施工計画の重要性が高まっています。厚生労働省、国土交通省、環境省は、建築物石綿含有建材調査者講習等登録規程について、令和8年6月30日改正の情報を公表しています。厚生労働省の法令等ページでは、令和8年6月30日改正の条文および新旧対照条文が掲載されています。

建築物石綿含有建材調査者講習制度は、石綿含有建材に関する規制を所管する国土交通省や環境省と連携し、多様な種類の石綿含有建材を調査できる専門家を育成するために設けられたものです。厚生労働省は、2018年に3省共管の講習制度を創設したと説明しています。

国土交通省も、建築物の通常使用状態における石綿含有建材の使用実態を的確かつ効率的に把握するため、中立かつ公正に正確な調査を行える調査者の育成を目的として制度を整備してきたとしています。

今回の制度整備は、設計者が直接すべての石綿調査を行うという意味ではありません。しかし、既存建築物の改修設計、用途変更、内装更新、設備更新、解体を伴う計画では、設計初期の段階から「どの部分を調査する必要があるのか」「既存図面で確認できる範囲はどこまでか」「現地調査結果をどの図面・仕様書へ反映するか」を整理することが重要になります。

特に、昭和期から平成初期に建てられた建物では、仕上材、下地材、断熱材、吹付け材、成形板、設備まわりの材料など、目視だけでは判断しにくい建材が含まれる場合があります。改修設計では、意匠図や仕上表だけでなく、過去の竣工図、改修履歴、設備図、現地写真、調査報告書を総合的に確認する必要があります。

改修設計・図面作成で確認しておきたい石綿調査情報の扱い

既存建築物の改修設計では、まず既存図面と現地状況の差異を把握することが重要です。古い建物では、竣工後の改修や設備更新により、図面と実際の仕上げ・下地・天井内・壁内の状況が一致していない場合があります。

石綿含有建材の可能性がある範囲については、設計図面上で不用意に撤去範囲や解体範囲を決めるのではなく、事前調査の要否、調査範囲、調査者の確認、調査結果の反映方法を整理しておく必要があります。調査結果が未確定のまま実施設計や見積りに進むと、着工後に追加調査や設計変更、工期変更が発生する可能性があります。

実施設計図面では、既存仕上げの撤去範囲、残置範囲、新設範囲、天井・壁・床の改修範囲、設備貫通部、シャフト、機械室、倉庫、外壁まわりなどを分かりやすく整理することが重要です。調査報告書と図面の整合が取れていないと、施工者や発注者がリスク範囲を正確に把握しにくくなります。

実施設計サポートセンターの事業領域である建築図面作成支援、実施設計図面、各種詳細図、確認申請関連業務においても、既存建築物の改修案件では、単に新しい図面を作成するだけでなく、既存情報・現地調査・法規制・施工条件を図面上で整理する力が求められます。

今後、既存建築物の活用や改修需要が増えるほど、石綿含有建材調査の結果を設計図書へ正確に反映することは、工事の安全性、見積精度、工程管理、発注者説明に関わる重要な実務項目になっていくと考えられます。

出典元

厚生労働省
国土交通省
環境省

参考リンク

厚生労働省「建築物石綿含有建材調査者講習及び工作物石綿事前調査者講習」
厚生労働省「労働安全衛生法関係の法令等(石綿)」
国土交通省「建築物石綿含有建材調査者制度等について」
国土交通省「石綿含有建材を調査する者のための講習制度が新しくなります!」

※本記事は、公開情報をもとに業界動向を整理したものです。各資料・制度・サービス等の詳細については、必ず各発表元・関係機関の公式情報をご確認ください。

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