建設実務通信

学校施設の設計者選定でプロポーザル活用が進展、設計初期の条件整理が重要に

業界ニュース

文部科学省は、国土交通省の第47回全国営繕主管課長会議の配布資料において、「学校施設の設計者選定におけるプロポーザル方式の活用について」を示しています。資料では、新しい時代の学びを実現する学校施設として、ICT環境に対応した教室、多様な学習活動に柔軟に対応できる空間、地域や社会と連携する共創空間などが重要な視点として整理されています。

学校施設は、従来の教室・廊下・特別教室を単純に配置するだけでなく、個別最適な学びと協働的な学び、教職員や児童生徒の過ごしやすさ、地域との連携、防災拠点としての役割など、複数の機能を踏まえて計画する必要があります。資料では、構想段階から地域住民や教職員等が設置者・設計者と共創し、新校舎で行う学びをデザインする考え方も示されています。

設計者選定については、新築や大規模改修など、技術的に高度または専門的な技術が求められる業務では、プロポーザル方式等の導入を積極的に検討することが示されています。あわせて、公平・公正で最適な設計者選定のため、建築の専門家や学校教育担当部局職員を含む選定委員会を設けること、教育委員会と契約担当部局・発注担当部局が連携することも留意点として挙げられています。

また、文部科学省は「みんなでつくる学校施設サポーター」を任命し、令和8年度より、設計者選定に向けた条件整理や選定方法の検討支援の体制を整備するとしています。CO-SHA Platformの相談窓口でも、対話の場の設定、ワークショップ等の企画、設計者の選定に向けた条件整理などを支援する取組が紹介されています。

この動きは、学校施設の設計において、単に設計図を作成する前に、発注者側の要求条件をどれだけ整理できるかが重要になっていることを示しています。設計者選定の段階で、教育方針、地域利用、改修範囲、将来の使い方、整備予算、工期、既存建物の課題などを整理しておくことが、実施設計や工事段階の手戻り防止につながります。

学校施設設計で確認しておきたい要求条件と図面化の流れ

学校施設の設計では、最初に「どのような学校にしたいのか」を整理することが重要です。新築、大規模改修、長寿命化改修、統合校、地域開放型施設など、計画の目的によって必要な図面や検討資料は変わります。

プロポーザル方式を活用する場合、設計者に求める提案内容を明確にするため、敷地条件、既存建物の状況、必要諸室、教育活動の方針、地域連携の考え方、避難・防災機能、設備更新、改修中の学校運営などを整理しておく必要があります。これらが曖昧なままだと、提案内容の比較が難しくなり、設計開始後に前提条件の見直しが発生する可能性があります。

実施設計に進む段階では、基本計画で整理した内容を、配置図、平面図、断面図、矩計図、仕上表、建具表、設備図、外構図、改修図、撤去図などへ正確に落とし込むことが重要です。特に既存校舎を活用する場合は、現況図と実際の建物に差異があることも多く、現地調査、既存図面、改修履歴、設備更新履歴を照合しながら進める必要があります。

また、学校施設では、教室だけでなく、昇降口、廊下、階段、トイレ、職員室、図書室、体育館、特別教室、給食関連室、地域利用スペース、屋外動線など、日常利用と非常時利用の両方を踏まえた図面整理が求められます。教育活動、施設管理、施工性、維持管理を横断して確認することが、設計品質の向上につながります。

実施設計サポートセンターの事業領域である建築図面作成支援、実施設計図面、各種詳細図、確認申請関連業務においても、学校施設のように関係者が多い案件では、初期条件の整理と図面間の整合が特に重要です。発注者、教育委員会、学校関係者、設計者、施工者が同じ前提で確認できる図面・資料を整えることで、設計意図の共有と手戻り防止につながります。

今後、学校施設の整備や改修では、設計者の選定方法だけでなく、設計前の条件整理、関係者との対話、既存情報の整理、実施設計図への反映までを一体で考えることが、より重要になると考えられます。

出典元

文部科学省
国土交通省

参考リンク

国土交通省「第47回全国営繕主管課長会議 配布資料」
文部科学省「学校施設の設計者選定におけるプロポーザル方式の活用について」
文部科学省「CO-SHA Platform」
文部科学省「学校施設整備の無料相談窓口」

※本記事は、公開情報をもとに業界動向を整理したものです。各資料・制度・サービス等の詳細については、必ず各発表元・関係機関の公式情報をご確認ください。

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