国交省、空家法関連ガイドラインを9月3日に更新―空き家改修・用途変更は「活用促進区域」の確認を

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国土交通省は2026年9月3日、「空家等対策の推進に関する特別措置法」の改正施行に合わせ、空き家対策に関する複数の指針・ガイドラインを更新しました。更新対象には、空家等に関する基本指針、管理不全空家等・特定空家等に関するガイドライン、空家等活用促進区域の設定に係るガイドライン、空家等管理活用支援法人の指定等の手引き、空き家所有者情報の外部提供に関するガイドラインなどが含まれています。
今回の法改正では、「空家等管理活用支援法人」として市町村長が指定できる法人の範囲について、従来のNPO法人、一般社団法人・一般財団法人、空家等の管理・活用を目的とする会社に加え、「その他の営利を目的としない法人」が追加されました。第16次地方分権一括法による改正で、空き家の管理・活用に関わる地域の担い手の幅を広げる内容です。
空き家改修では「空家等活用促進区域」の確認が重要に
実施設計との関係で特に確認しておきたいのが、「空家等活用促進区域」です。
この制度自体は2023年の空家法改正で創設されたものですが、今回、国土交通省は2026年9月版として設定ガイドラインを更新しています。市町村は、中心市街地や地域再生拠点など、空家等の活用が必要な区域を空家等対策計画に位置付けることができます。
促進区域では、市町村が活用指針を定めることで、一定の条件のもと、建築基準法の接道規制や用途規制について特例を活用できる仕組みがあります。
例えば、従来であれば接道条件がネックとなって改築・建替えが難しかった空き家について、市町村が定める「敷地特例適用要件」に適合し、特定行政庁が安全上などの支障がないと認めた場合には、接道規制の特例認定を受けられるケースがあります。また、用途地域による用途制限についても、区域内で定められた誘導用途との関係で特例許可を活用できる場合があります。
ただし、促進区域に指定されただけで自動的に規制が緩和されるわけではありません。どの特例を設けるか、どの建築物を対象とするかは市町村の空家等対策計画や活用指針によって異なります。
用途変更を伴う改修では、計画初期の法規確認が重要
空き家活用では、既存住宅を店舗、事務所、宿泊施設、福祉施設、交流施設などへ転用する案件も想定されます。
国土交通省のガイドラインでは、空家等を活用した地域施策の例として、飲食・物販施設、宿泊・滞在施設、コワーキングスペース、福祉関連施設、子育て支援施設などが示されています。
こうした用途変更では、既存建物の平面図を修正するだけでは足りません。
新しい用途に応じて、避難経路、防火区画、内装制限、排煙、採光、換気、階段、設備、バリアフリーなど、確認すべき項目が変わる可能性があります。さらに、既存不適格の扱いや増築・改築の範囲、確認申請が必要となる条件についても、計画初期に整理しておく必要があります。
特に古い空き家では、竣工図と現況が一致していないケースも少なくありません。改修設計を始める前に現地調査を行い、既存平面図、立面図、断面図などを現況に合わせて整備することが、その後の法規確認や実施設計の土台になります。
接道条件は配置図・敷地図の精度が設計判断を左右する
空家等活用促進区域で接道規制の特例を検討する場合、敷地と前面道路の関係を正確に把握することが重要です。
既存資料だけでは道路幅員、接道長さ、道路境界、セットバックの状況などが不明確な場合があります。
そのため、配置図や敷地求積図を作成する際には、道路種別や幅員、敷地境界、既存建物の位置などを整理し、必要に応じて行政との事前協議に利用できる資料へ整えておくことが重要です。
接道規制の特例制度では、市町村が定めた敷地特例適用要件に適合するかを確認したうえで、特定行政庁による認定を受ける流れになります。設計を進めてから接道条件の問題が判明すると、配置計画や用途計画そのものを見直す必要が生じる可能性があります。
実施設計では既存図と改修図を明確に分ける
空き家の改修案件では、新築案件以上に「既存」と「改修後」の情報管理が重要です。
実施設計図面を作成する際には、既存部分、撤去部分、新設部分を明確に区分し、平面図だけでなく、展開図、天井伏図、建具表、部分詳細図、設備図などとの整合を取る必要があります。
用途変更によって防火区画や避難経路が変われば、建具仕様や壁仕様などの詳細図にも影響します。構造補強が必要になれば、意匠図と構造図の調整も必要です。
図面作成を外部へ分担する場合には、現況調査図、既存図、改修指示図のどれを基準とするのかを明確にし、最新版の図面を共有することが手戻り防止につながります。
「古い建物だから活用できない」と決める前に制度確認を
空き家活用の設計では、接道条件や用途地域を確認した段階で「この建物は用途変更できない」「建替えできない」と判断してしまうケースも考えられます。
しかし、対象地が空家等活用促進区域に指定され、市町村が接道規制や用途規制の特例要件を定めている場合には、通常とは異なる手続きによって計画できる可能性があります。
一方で、すべての自治体が促進区域を設定しているわけではなく、設定内容や誘導用途も地域によって異なります。
今後の空き家改修・用途変更案件では、建築基準法や都市計画法の一般的な確認に加えて、「所在地の市町村に空家等活用促進区域があるか」「対象地が区域内か」「どの特例適用要件が定められているか」を、基本計画の早い段階で確認することが重要になります。
既存図面の整理、現況調査、法規チェック、行政協議、確認申請図面、実施設計図面を一連の作業として管理することが、空き家活用案件の設計を円滑に進めるポイントになりそうです。
出典元
国土交通省
内閣府
参考リンク
国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報」
国土交通省「空家等活用促進区域の設定に係るガイドライン(令和8年9月)」
国土交通省「空家等管理活用支援法人の指定等の手引き」
内閣府「第16次一括法などの施行」
※本記事は、公開情報をもとに業界動向を整理したものです。各資料・制度・サービス等の詳細については、必ず各発表元・関係機関の公式情報をご確認ください。