ベースパック工法で鉄骨建て方を効率化

1. はじめに:鉄骨建て方における効率化の課題

鉄骨建築における「建て方工程」は、工期・精度・安全性に大きな影響を及ぼす重要な作業です。従来のアンカーボルト建込み工法では、位置ずれやレベル精度の誤差が発生しやすく、現場での修正や調整に多大な時間と労力を要してきました。
近年、建設現場では慢性的な人手不足や技術者の高齢化が進んでおり、従来の手作業中心の施工方法では限界が見え始めています。こうした背景から、精度とスピードを両立できるベースパック工法が注目されているのです。


2. ベースパック工法とは?

ベースパック工法とは、あらかじめ工場で製作されたベースプレートとアンカーボルトを一体化したユニットを使用する施工法です。
従来のアンカーボルト建込み工法では、コンクリート打設前にアンカーボルトを型枠に固定し、位置決めを行う必要がありました。しかし、この方法では施工誤差が生じやすく、コンクリート硬化後に修正が困難になるという問題がありました。

ベースパック工法では、ベースプレートに正確な位置で溶接されたアンカーボルトをコンクリート打設後に設置するため、位置ずれ防止と高精度な建て方が可能となります。また、使用部材も規格化されており、施工手順もシンプルであることから、現場での負担が大幅に軽減されます。


3. ベースパック工法のメリット

精度向上:アンカーボルト位置ずれ防止

従来工法では、アンカーボルトがミリ単位でずれてしまうこともあり、鉄骨柱の建込みに支障をきたすケースがありました。ベースパック工法では、工場製作による精度管理で位置ずれがほぼ解消されます。

工期短縮:建て方準備作業の効率化

従来のアンカーボルト固定作業や現場での調整作業が不要となり、建て方準備の工程が大幅に短縮されます。結果として、全体工期の圧縮につながります。

品質安定:現場差をなくす施工管理効果

標準化された部材を使用するため、職人の経験やスキル差によるばらつきを抑えられます。これにより、品質の均一化と施工リスク低減を実現できます。


4. 適用現場と導入事例

ベースパック工法は、特に中高層鉄骨建築で効果を発揮します。

  • 工場や倉庫では、短工期での竣工が求められるケースが多く、効率的な建て方により納期短縮が実現。
  • 商業施設では、鉄骨精度の確保が重要であり、ベースパックによる安定した施工品質が評価されています。
  • 実際の現場からは「基礎工事と鉄骨建て方の連携がスムーズになった」「修正作業がなくなり安全性が向上した」といった声も寄せられています。

5. 施工上の留意点と課題

ベースパック工法は非常に有効ですが、導入にあたっては以下の課題もあります。

  • 初期コストと導入ハードル:従来工法よりも部材費が高くなる場合があり、コスト調整が必要です。
  • 現場条件に応じた適用可否:小規模工事や特殊基礎では導入が難しい場合があります。
  • 精度管理と検査:ベースパック設置後のレベル確認やトルク管理など、基本的な検査体制は欠かせません。

6. 今後の展望とまとめ

ベースパック工法は、建設業界全体が求める「省人化・効率化・高品質化」に合致する技術です。今後は、BIMや施工DXとの連携によって、基礎から鉄骨建て方までを一元的に管理できる可能性も広がっています。
人手不足や短工期要求がますます強まる中、ベースパック工法は鉄骨建て方の新しいスタンダードとして普及が進むでしょう。