RC造建物のコンクリート打ち継ぎ設計ポイント
目次
1. はじめに:RC造建物と打ち継ぎ部の重要性
鉄筋コンクリート造(RC造)において、コンクリートは原則として一体打設が理想ですが、実際の施工では工期や施工範囲の制約から複数回に分けて打設を行うことが多くなります。その際に必ず生じるのが「打ち継ぎ部」です。打ち継ぎは構造耐力や耐久性に大きく影響するため、設計段階から施工計画を見据えた配慮が欠かせません。
2. コンクリート打ち継ぎの基本概念
打ち継ぎとは何か
打ち継ぎとは、新たに打設するコンクリートと、既に硬化したコンクリートとの接合部を指します。ここで適切な処理が行われないと、ひび割れ・剥離・漏水などの不具合につながります。
打ち継ぎ目の種類
- 水平打ち継ぎ:スラブ・梁下端などで生じやすい。
- 垂直打ち継ぎ:壁や柱の施工継ぎ手として現れる。
- 斜め打ち継ぎ:特殊な施工条件で採用される場合がある。
新旧コンクリートの接合メカニズム
新旧コンクリートの界面は、粗さ・清掃状態・水分保持によって付着性能が左右されます。機械的なかみ合わせと化学的な付着が両立することで、健全な一体化が実現します。
3. 打ち継ぎ部に関する設計指針
設計者は、施工性と構造安全性の両立を意識して打ち継ぎ位置を定める必要があります。
- 法規と指針:建築基準法、JASS5、AIJ指針などで打ち継ぎに関する規定が存在。
- 位置設定の原則:
- 梁:曲げモーメントの小さい1/3付近
- 柱:梁下端から離れた位置
- 壁:開口部周辺を避け、せん断力が小さい位置
- スラブ:スパン中央付近が望ましい
- 耐久性配慮:漏水や中性化を防ぐため、仕上げや防水層との取り合いも考慮します。
4. 打ち継ぎ面の処理方法
- 表面処理:旧コンクリートの表面を粗面化(チッピングや高圧洗浄)し、新コンクリートとの付着を確保。
- 接着材・樹脂:エポキシ樹脂やポリマー系接着材を用いて界面強度を高める。
- 鉄筋付着性:打ち継ぎ部で鉄筋にレイタンスが残らないよう徹底的な清掃が必要。
5. 打ち継ぎ部の施工上の留意点
- 打設タイミング:コールドジョイントを防ぐため、施工間隔を管理(通常2〜3時間以内)。
- 施工方法:バイブレーターの使用で密実化を徹底し、ジャンカ発生を防止。
- 養生:湿潤状態を維持し、急激な乾燥によるひび割れを防ぐ。
6. 品質確保と耐久性向上のためのチェックポイント
- ひび割れ・ジャンカ防止:締固め不足や施工不良の有無を重点的に確認。
- 水密性:地下外壁やスラブでは特に重要で、止水材や打ち継ぎ用止水板を併用。
- 検査・試験:シュミットハンマーやコア抜きによる強度確認も行われる。
7. 事例紹介:良好な打ち継ぎと不良事例
- 良好事例:打ち継ぎ面を十分に処理し、施工管理を徹底した結果、界面での剥離がなく長期的に健全性を維持。
- 不良事例:処理不足やレイタンス残留により、漏水や付着不良が発生。補修には高コストを要した。
8. まとめ:打ち継ぎ設計・施工におけるベストプラクティス
RC造におけるコンクリート打ち継ぎは、構造性能・耐久性・防水性に直結する重要要素です。設計者は構造力学的な合理性を踏まえ、施工者は確実な現場管理と品質管理を徹底することで、長寿命で信頼性の高い建築を実現できます。両者の連携が最終的な品質確保の鍵となります。


