RC造における躯体一体打設と施工管理
1. はじめに
躯体一体打設とは、柱・梁・壁・スラブといった主要構造部材を分割せず、連続してコンクリートを打設する施工方法を指します。従来の打継ぎ工法に比べ、継ぎ目がなくなるため構造性能や耐久性が向上し、仕上げ面の美観も良好となります。近年では、工期短縮や品質確保の観点から、多くの現場で採用が進んでいます。
2. 一体打設の基本概念
一体打設の最大のメリットは、打継ぎの省略による耐久性の向上です。継目部分は水密性や付着性能の低下を招きやすく、長期的な劣化の要因となります。一体で打設することで、構造体全体が連続した剛体として機能し、せん断強度・曲げ剛性・耐震性能が向上します。また、コンクリート表面が均質に仕上がるため、仕上げ工事の手間や不具合も減少します。
3. 計画段階での検討事項
一体打設を成功させるには、計画段階から綿密な検討が必要です。
- 打設順序とブロック分割:コンクリートが閉塞しないよう、流動性と施工手順を考慮したゾーニングが重要です。
- 供給体制:必要なコンクリート量を一度に供給できるプラント手配、運搬台数の確保が欠かせません。
- 型枠支保工:打設時の荷重は通常より大きくなるため、支保工の強度・安定性を確保し、安全計画を徹底する必要があります。
4. 施工時の管理ポイント
施工段階では「連続性」と「品質確保」が最大のテーマです。
- 連続打設:打設中断を避け、ポンプ車やバケットを効率よく配置します。
- 締固め:バイブレーターを適切に使用し、ジャンカや豆板を防止します。
- ひび割れ対策:打設後の温度差による収縮ひび割れを抑えるため、散水養生や断熱養生を行います。
- 施工体制:人員配置や打設機材を事前にシミュレーションし、工程管理を徹底することが重要です。
5. 品質管理と検査の実務
一体打設では、通常以上に品質試験と管理が求められます。
- フレッシュコンクリート試験(スランプ、空気量、温度)を打設開始前に確認。
- 施工中の監理:打込み高さや締固め状況を逐次チェック。
- 完成後の出来形確認:表面の仕上がり、かぶり厚、打放し仕上げの場合は色ムラの有無などを重点的に検査します。
6. 一体打設に伴う課題とリスク管理
一体打設は品質に優れる一方で、施工リスクも高くなります。
- 打設中断リスク:ポンプトラブルや悪天候で打設が止まれば打継ぎとなり、計画の意義が失われます。
- 供給遅延:生コン車の遅延が致命的になるため、複数プラントからの供給体制を構築する必要があります。
- 大規模物件のリスク:高層建築などでは一体打設規模が大きくなるため、温度応力管理や打設時間延長によるリスクを十分に考慮することが求められます。
7. 実務事例紹介
- 高層マンションの事例:柱・梁・スラブを一体打設し、打継ぎ不良を解消。外壁の水密性が向上し、長期修繕コスト削減につながった。
- 商業施設の事例:大スパン梁を含む一体打設により、工期を数週間短縮。施工効率と品質確保を両立できた。
- 改善事例:初回打設で温度ひび割れが発生したが、断熱養生材と温度計測を強化し、次回以降は良好な品質を確保できた。
8. まとめと今後の展望
RC造における躯体一体打設は、品質向上・耐久性確保・工期短縮を同時に実現できる有効な施工方法です。一方で、供給体制や施工リスクの管理が難しく、徹底した計画と監理が不可欠です。今後は、BIMによる施工シミュレーションやプレキャスト部材とのハイブリッド工法などが普及し、一体打設の施工合理化がさらに進むと期待されます。


