電気の引込と分電盤の位置について

電気(電力)の引込について

一般住宅の場合、電気(電力)の引込は、特別な場合を除き、最寄りの電柱(引込柱)からの架空引込(直接引込み)となります。

よく道路(公道)に添って電柱が立っているのを目にするかと思いますが、その電柱で住宅の引込点から一番近い電柱が引込柱となります。(図1-1)

ですので、引込を検討する際は、まず最寄りの電柱がどこにあるか確認し、次に引込柱になるかどうかを確認し、引込点を決定するという流れになります。

また、引込も大きく分けて下記の3パターンあります。(図1-2)


 A:引込柱から直接建物の側面に引込む方法
 B:引込柱からメッセンジャーワイヤーを介して、建物の側面に引き込む方法
 C:引込柱に近いところにポールを建て、それを介して架空または地中引込をする方法

引込みを検討する際は、電柱、建物の位置や、意匠(見栄え)、また予算などにより、上記3パターンのどれがいいか決定します。

次に引込点の高さですが、法規で2.5m以上と決められています。
つまり普通の人(身長1.8mの人)が容易に触れない高さという事です。一般住宅の場合は、1階または2階の軒先です。ただ、電柱(引込柱)が敷地(建築地)に面している道路(公道)の反対側にある場合は、注意が必要です。なぜなら、その場合は道路を横断するようになります。道路上は最低でも5mと法規で決まっていますので、おのずと引込点は、それ以上(5m以上)の高さが必要になってくるからです。(図1-3)

また、電柱(引込柱)から引込点が遠い場合は、別途、電力会社と協議して、敷地(建築地)内に電柱を建てていただき、その電柱を引込柱として、そこから引込むことも可能な場合があります。(図1-4)


ただ協議後、電柱(引込柱)を建てていただけない場合は、引込にあたりお客様負担で電柱(引込柱)を立てたければならないので、注意が必要です。(図1-5)


お客様にて電柱(引込柱)を立てる場合は、上記3の電柱(引込柱)に近いところにポール(すっきりポールなど)を建て、それを介して架空または地中引込をする方法になりますが、状況によってはとても高額になりますので、お客様(お施主様)への十分な説明は不可欠です。

分電盤の位置について

引込点の候補位置が決まりましたら、分電盤の設置位置を決めます。

まず分電盤の設置可能スペースですが、その大きさは、40坪程度の一般的な住宅の場合ですと、回路数24程度ですので、縦×横=400mm×800mm程度が多いです。つまり、ドア一枚分のスペースであれば大丈夫ということです。(図2-1)

そして、設置位置ですが、おすすめは、勝手口のドアの上、もしくは、玄関室横にシューズクローク(納戸部屋)等があれば、その部屋の壁です。(図2-2)

というもの、何かあった場合(ブレーカのトリップ等)、誰でもすぐに分電盤のところに行くことができ、扉を開け、ブレーカの状況を確認する事ができるからです。

それでは、これが、洗面室やトイレの場合は、どうでしょうか?
例えば、ブレーカトリップ(停電など)してしまった場合、洗面室やトイレが使用中ですと、確認がすぐできないですね。または、電力会社の定期点検や分電盤の工事中などの場合、その時間中、洗面室やトイレが使用できないという事になります。また、洗面室やトイレは、家の奥の場合が多いので、検査や工事の方も家の奥まで入らざるを得なくなり、お互い気を使いますね。
ということで、洗面所やトイレはあまりおすすめしません。

次に、避けるべき設置位置もあります。
それは、蒸気のあたるところ、または、比較的湿気のあるところです。
具体的には、お風呂の出入りのドア上です。(図2-3)

なぜ、ここが避けるべき設置位置かというと、ここに設置するとお風呂の出入りの際、分電盤が蒸気を受けてしまうからです。
分電盤は電気製品です。また最近は内部に電子回路を組み込んであるものもあります。
つまり、そうした電気製品が蒸気を受け続けると、どうなるでしょうか?
最悪の場合、内部が劣化し、誤動作、ショート火災する場合もあるという事です。
ということで、分電盤は、蒸気のあたるところ(例えば、お風呂の出入りのドア上など)の設置はしないようにしましょう。